40歳からのお金と働き方1

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アラフォー世代は、老後に生活のための十分な年金受給が見込めないと、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。そこで、「40歳からのお金と働き方」について、株式会社エムイーネット代表取締役社長で、ファイナンシャルプランナーでもある鈴鹿勝章さんにお伺いしました。

40代は貯金より健康や仕事やスキルを上げていくこと

―― 老後を見据えると、アラフォー世代は、貯金をどれくらいするべきでしょうか?

お金を貯めるよりも、自己投資をしておくことが大切です。視野を広げるために、本を読んだり、旅行をしたり……。60代、70代になってくると、新しい知識が入らなくなって、自分自身が持っている知識の組み合わせで考えることになる。50歳くらいが境目で、その後は自身が持っている知識を組み合わせたり、その出し方や使い方を工夫したりして学びを発展させる方が、人間の脳の老化の仕組みに合っています。まだまだ知識を吸収できる40代は、お金を貯めるよりもやりたいことをやって、経験を積んだり、視野を広げたり、健康と仕事とスキルを上げていくことが大事です。お金を使わないでできることもありますが、お金をかけないとやれないこともあると思いますし。

―― 保険は、どれくらい、何をかければよいと思いますか?

子どもがいるか、いないかで内容は変わります。独身や、夫婦のみ世帯の場合は、保険をかけなくても何とかなるので、仕事を頑張ることに力を入れたほうがよいでしょう。 子どもがいる場合は、死亡保障がそれなりにあるものに入っておくと良いと思いますよ。死亡保障も、お子さんが赤ちゃんの頃から幼稚園や保育園、小学校、中学校と育っていくうちに、その時々で必要な保障額はある程度推測できる。日本は義務教育であり、中学を出て、高校時代は働こうと思えば働ける。子どもの成長に合わせて、その都度、保険を検討していくことが必要です。ずっと保障額が高い保険に入っていると、保険額も高いままですが、必要な額のカーブを意識して保険を検討すると、掛け金もそこまで高額にならないはずです。
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―― 保険の事業者の方に聞いた場合、「子どもがいないなら保険はいらないのでは?」とはなかなか言ってはくれないと思うので、とても貴重なお話ですね。貯蓄型の保険などもありますが、どう思われますか。

生命保険は、イベントリスクをヘッジするもの。年末調整の面からいっても、貯蓄型保険は税金の控除の上限額がそれほど多くないと思います。それに見合う程度の死亡保障を付けておけばよいかと思いますね。自分自身は、年末調整の対象に入る年金は入っています。 貯蓄は、基本的にあまりありませんね。まったくないわけじゃないですけど(笑)。子どもが3人いて、大学生が2人で、高校3年生が1人で、教育費が高いので、貯めている余裕はありません。ただ、ありがたいことに、自宅のローンも返済して、会社も自分も無借金です。会社もそれなりに頑張って成長させていけば、健康であれば70歳くらいまでクビにならずに働けるかなと。それが自分の貯金ですかね。

―― 確かな仕事で、働き続けることが“貯金”なのですね。

スキルも大切です。高齢の社長さんをみていると、今も輝いて活躍している人もいれば、時代のスピードに飲み込まれてしまい、ついていけていないと感じる人もいます。自分もアップデートしていかないと、時代の波に飲まれてポンコツになってしまいます。
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鈴鹿勝章(すずかまさあき)さんプロフィール
株式会社エムイーネット代表取締役
1991年東京大学法学部卒業。三菱銀行(現:三菱東京UFJ銀行)を経て、2001年から在宅医療クリニック開業支援および運営サポートに多数携わる。現在は都内で訪問看護ステーションを運営中。(社)日本証券アナリスト協会検定会員。