【検査体験記1】不惑の歳に健康も惑わず

●健康に関わる専門職ほど、不養生

「あっ、まずい!再検査だ……」

そうです、それは予期せぬ時にやってくるのです。

世間では“医者の不養生”という言葉があります。辞書を引くと「人に養生をすすめる医者が、自分は健康に注意しないこと。正しいとわかっていながら自分では実行しないことのたとえ」とありました。実際に日経メディカルのアンケート(https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/1000research/201807/557227.html)を見ると、自分を不養生だと思う医師は約70%近くであったとの記載もありました。患者第一を考え、責任も非常に重く日常の激務をこなし時間もない……これは医師だけでなく、看護師や病院勤務者など医療に関わる方々全てに当てはまるかと思います。そこで非常に強引で、医療従事者の方々と一緒にしては大変失礼になるのですが、人々の健康を願い日々医療技術の研究開発、販売を行う“医療機器メーカー”に勤務する者にも「不養生」があったという話をさせていただきます。何を隠そう私の経験です。大した経験ではないですが、一つお聞きください。

改めまして、はじめまして。私はとある医療機器メーカーに勤務する50歳の普通の会社員です。50歳を迎え、知力、体力の低下が自分でも認識できるようになり“健康”というキーワードに敏感なお年頃になったと痛感しております。ただ会社員ですので、この“健康”という点では毎年健康診断を入社以来欠かさず受診し現状把握に努め、その都度健康であることを確認し、私は大丈夫!という自信(過信というのでしょうか)に満ち満ちていました。しかしこの健康が崩れる時が訪れたのです。それは私が44歳の時です。とうとう来ました。冒頭の話になりますが、そうです、再検査の結果が出たのです。

●検査結果、陽性!!

内視鏡検査

具体的に言いますと、便潜血陽性による再検査(精密検査)です。前述の通り仕事柄、便潜血陽性反応については知識もあり、まさか……と。もちろん陽性といっても、全てが悪い結果になるわけではないのですが、何せ初めて再検査の結果であったこと、そして再検査は一度も受診したことのない内視鏡検査、それもいきなり大腸の内視鏡。いろいろ不安が押し寄せ、悶々としたことを思い出します。私自身、医療機器メーカーに勤務し、人々の健康に貢献するための機器を取り扱い、しかも時には人に検査をすすめながら、その実一切精密検査というものを受けたことがありませんでした。それは健康で再検査指示もないことを理由に自分の体を深く知ることを避けていたこと、そしてその自覚もなかったのかもしれません。しかし今回は避けて通れない結果となり受診しました。まずは精密検査、そして治療として2回も……。すべてのことが初めてづくしでしたが、幸いにして苦しい、辛い等々のことはなく、逆にあっという間に終わりました。もちろんこれは実際の医療施設側の技術、環境が素晴らしかったおかげと深く感謝するところでした。

結果は所謂ポリープで内視鏡で切除できましたが、3つのポリープ、しかも1つは11mm以上と結構大きく成長していて、44歳でこの大きさということは、推測ですが40歳前から既に存在し数年大事に?育てていた、それに気づかなかったということが言えるかもしれません。今回運良く?便潜血陽性となったので内視鏡受診と治療となりましたが、もっと早い段階に受けられれば小さい段階で切除ができたはずですし、また逆に今回も陰性となり気づかずもっと大きくなってしまっていた可能性もあったかもしれません。しかもこれがポリープでなく悪性のものだったら……と考えると怖くなりました。それ以降は考えを改め胃と大腸両方の内視鏡検査を定期的に受けるようになりました。

●「自分は大丈夫!」ではない

でも改めて考えると、我社では40歳では内視鏡検査をオプション検査として選択できたのです。それも便潜血結果に関係なく。もちろんそのことも知っていましたが、自分は大丈夫という勘違い、過信があったのでしょう。結局はその推奨された年に受けておくべきだったのかもしれません。やはり推奨されるものはちゃんと裏付けのもと決められているのですね。

自分は大丈夫という考えは40歳を機に捨てましょう。大丈夫だったならさらに安心感も増します。自分は大丈夫!ではなく、家族も大丈夫(安心)!と言えるように自分の体を見つめなおす良い機会、年齢が40歳なのかもしれませんね。不惑の歳に健康も惑わず。これを目指して健康的に過ごしてはいかがでしょうか。言われずとも分かっているよ!とお叱りを受けるかもしれませんが、人々の健康を願う“医療機器メーカー”に勤務する者の個人的経験と見解です。平にご容赦を。

【Information】
お住いの区市町村で便潜血検査を実施している場合があります。HPなどでご確認ください。